味覚の授業

「味覚の授業」®とは

「味覚の授業」®は料理人、パティシエ、生産者らがボランティアで、全国の小学校の3年生から6年生を対象に、味の基本となる4味(「塩味」「酸味」「苦味」「甘味」に加え、第5の味覚である「うまみ」について教え、味覚を意識させ、食の楽しみを学ばせます。

2022年度テーマ : SDGsと食育

世界的な新型コロナウイルス感染拡大という非常事態を受け、今後の生活様式は否応なく変化を迫られています。また、学校での食育も世界の目標である「 SDGs 」を踏まえたものとしていかなくてはなりません。
子供たちの発達過程において、「食育」は以前にも増して大切なものです。命をつなぐ栄養の必然性だけではなく、地球環境に配慮した、「味」の多様性、「食」がもたらす豊かな人間関係、そして「食」というそれぞれの文化の継承を教えていかなくてはなりません。
このような観点から「味覚の一週間」を今後も継続して行ってまいります。


上記動画より、「味覚の一週間」実行委員長・瀬古篤子のメッセージ要約
「味覚の一週間」の運動は1990年にフランスで起こってから31年続いており、日本では2011年に当実行委員会がフランスと提携をして始めた。今年(※2021年。収録当時)は10周年になるが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、活動の縮小を余儀なくされた。
しかし「味覚」の大切さを子供たちに伝える活動は止めてはならないと、開催を決めた。
感染状況は、日本の中においては地方によって程度の差があるため、できる範囲で「味覚の授業」の活動を続ける。
「味覚のアトリエ」は、学校以外のところでのさまざな食育活動であるが、今年は例年のように東大駒場において、「東大駒場友の会」の皆様と、レストラン「ルヴェソンヴェール」の伊藤文彰シェフの協力により、東大生たちへのウェビナーによる食育活動を開催する。
ボランティアで参加していただく料理人、生産者、研究者の方たち、また東京ガスをはじめとするスポンサーの方々に心からお礼を申し上げる。

2022年の「味覚の授業」®
●実施校数 全国19都府県 210校
●実施クラス 490クラス
●受講児童数 12,257名
●参加講師数 157名

新型コロナウイルス感染拡大防止については、各参加校による判断と、実行委員会から講師へのマニュアルをもって、対策を講じました。

薬師神陸(unis)、ダヴィッド・ブラン(グランドハイアット東京)、三井田敦弘(ヨックモック)の各氏@千代田区立麹町小学校

今年度より新設のデジタルテキストに、さらにオリジナルのページを加えて説明する薬師神シェフ。

試食は、3種のサブレ。授業で習った5味と五感を意識しながら、それぞれの風味や食感を確かめるように、ゆっくりしっかりと味わいました。

リンゴやゴーヤ、酢などを、同じ形の寒天状に固めた、ダヴィッド・ブランシェフによる5味の食材。見た目や食感に惑わされずに、味と香りだけで判断する難問でしたが、集中して味わうことを体験しました。

アレルギー食材を一切排除した2種のマドレーヌを用意し、クラス全員が同じものを味わえる機会をつくった三井田シェフ。代替の食材でも、おいしいものを実現できる例を説明し、通常食とアレルギー食の垣根を越えて、ともに食べる楽しさ、豊かさを伝えました。

坂田幹康(GINZA kansei)、後藤裕一(Equal)各氏@中央区立明正小学校

基本の5味のタルトレットで味を確かめた後、バター製造の工程で廃棄される乳清を使って後藤シェフが商品としているお菓子について解説。3年生の心にも届くフードロス、リユースの話となりました。

牛乳からバターができる様子が実演され、廃棄される部分を皆で確認しました。

坂田シェフの試食品は、教室で試食直前に温めなおした自家製のパン。味や食感だけでなく、香りや温度が「おいしい」をつくる要素であることを実感しました。

杉本雄氏(帝国ホテル東京)@中央区立泰明小学校

「味覚の一週間」の2022年度のテーマ「SDGsと食育」に沿って、サステナビリティをテーマにした授業が行われました。

教室には、天然と養殖の鯛が持ち込まれ、それぞれで取っただしをブラインドで試飲。子どもたちは、口々に、その味や香りの違いを発表しました。

たね明かしの後は、グループ毎に天然と養殖鯛の違いを観察。棲む環境に順応して変わる魚の生態について知りました。

さらに世界と日本の漁獲量と消費量のバランスや、将来的な食糧供給の見通しなどをシェフが解説。サステナビリティについて、実感する授業となりました。

在日フランス大使館経済部より、ジェローム・ペルドロー農務参事官が授業を視察しました。

山下春幸(HAL YAMASHITA)、太田高広(ホテルニューオータニ)、マシュー・クラブ(Two Rooms)各氏@大田区立田園調布小学校

五感を使って味わうことの大切さを力説した山下氏。嗅覚なしでは味が感じられないこと、ひとつまみの塩で、ぜんざいの味ががらりと変わることを、子どもたちは実験と試食で理解しました。

マシューシェフの授業では塩、ピクルス、菊花、デーツ、ケッパーをひとつずつ味見して、5味のどれに当たるのかをクイズ形式で識別。

最後に5味の食材を、ひと匙の豆腐ホイップに乗せて。異なる味が出会って、新たな味わいが生まれることを実感しました。

5味と五感について丁寧に説明し、子どもたちの発言も引き出した太田氏。授業の最後には、試食のカヌレを注意深く味わう姿が見られました。

藤野真紀子、マロン、渡辺明日香(いずれも料理研究家)@中央区立月島第二小

左より、渡辺氏、藤野氏、「味覚の一週間」実行委員長・瀬古篤子、マロン氏。

5味を希釈水で識別する藤野氏の教材。

奥田透氏(銀座小十)@中央区立月島第一小

お椀は人数分を奥田氏が持ち込み。子どもたちは日本の四季に合わせて、選ぶ形や柄が違うこと、蓋と中身の絵柄にストーリーがあることなどを学び、自分と友だちに当たったお椀を興味深く見比べました。

昆布と鰹節の出汁の香りが、教室に満ちあふれました。 “和”の味をたっぷりと感じさせる、海老真丈椀を試食に。

米澤文雄氏@台東区立松葉小

子どもたちに馴染みのある、身近な食べ物で5味を説明。授業を受けた6年生と同じ歳で、すでに料理人を志していたという米澤シェフの話にも、聞き入る様子が見られました。

試食は、フランスでは“UMAMI” の代名詞ともされる、トマトのコンソメ。ジュレ状にして、口中にとどまる時間を長くし、より味を感じられるようにという配慮が。

日本西洋料理技術者協会「八重洲会」所属のシェフたち@江戸川区立船堀小、同二之江小

船堀小:松山昌樹(ロイヤルパークホテル)、飯塚喜隆(プリンスホテル新潟・長野・群馬)、岸義明(ヨコハマグランドインターコンチネンタルホテル)、齋藤雅巳(元綱町三井倶楽部)の各氏、二之江小:斉藤哲二(東京會舘)、市川博史(京王プラザホテル)、伊藤俊行(元プリンスホテル)の各氏と、山田百香里氏(たべもの教室采輪)。

島田進氏(パティシエ・シマ)@千代田区立富士見小

5味の説明だけでなく、同じ塩や酢、砂糖の中でも、原料や産地、製法によって風味が異なることを紹介。パティシエならではの繊細な味の説明がくり広げられました。

ドミニク・コルビ氏(フレンチ割烹ドミニク・コルビ)@葛飾区立高砂小

日本に長く在住し、各地の食材にも精通するシェフが、日仏それぞれの食文化もまじえながら、味覚について講義。授業の最後には記念のサインも。

三國清三氏(オテル・ドゥ・ミクニ)@東京都市大学付属小

飯笹光男氏(シェ・フルール横濱)@横浜市立齋藤分小

横浜産のジャガイモ、シャドークイーンとリンゴのチップの試食。5味の他に地産地消もテーマに。

阿部兼二氏(ビストロコンフル)@横浜市立元石川小

加工によって食材そのもの味を際立たせた、キクイモチップの試食品。かみしめて味わうことで、食材の滋味を発見しました。

奥井奈都美氏(アマンダリーナ)@横浜市立公田小

河原真友子氏(蔵やまと)@横浜市立城郷小ほか

長野県の実施校のうち、2校では「味覚の授業」の後、調理実習が行われました。

昆布とかつおぶしのだし、地元産の野菜と信州味噌で味噌汁の調理実習。

板花芳博(ロティスリー ル・ボヌール、全日本司厨士協会長野県本部)、北林智紀(食事処美里)、吉田信行(割烹よしだ)、松尾光二郎(ホテルアンビエント安曇野)、田島修二(ビレッジ安曇野)各氏ほか@安曇野市立堀金小

板花芳博、江田瞳(食事処美里)、北林智紀、吉田信行、中村光昭(ナカムラ食堂)、忠地拓(豊科ばんどこ)、松尾光二郎、金井美和(旬菜ダイニングばんび)、田島修二各氏ほか@安曇野市立穂高北小

愛知県では、名古屋市、春日井市を中心に、講師が団結して数多くの学校へ赴きました。

玉井邦弘氏(名古屋東急ホテル)@名古屋市立千年小

冨田大介氏(カルチェラタン)@名古屋市立玉川小

松本茂雄氏(ホテルグランコート名古屋)@名古屋市立高蔵小

牧島昭成氏(ソロピッツァチェザリ)@名古屋市立船方小

大鹿裕司(ホテルプラザ勝川)、大脇房夫(全日本司厨士協会東海地方本部)、松本茂雄各氏@名古屋市立大宝小

大鹿裕司(ホテルプラザ勝川)、鈴木雅彦(エスパシオエンタープライズ)各氏@愛知県・東郷町立諸輪小

ひとりひとりに「味覚の授業」修了証が渡されました。

日々野逸朗氏(名古屋マリオットアソシアホテル)@名古屋市立白鳥小

ニンジンを題材に、ゼリーの試食で野菜本来の甘みを感じました。

鈴木雅彦氏(エスパシオエンタープライズ)@名古屋市立栄小

上写真左より
森繁夫(名古屋観光ホテル、鈴木雅彦、大鹿裕司(ホテルプラザ勝川)、豊吉宏典(同)各氏も参加。

湊敏文氏(松前)@池田市立池田

山口雄三氏(ランコントレ)@出雲市立四絡小

島袋司氏(ラトリエ)@沖縄市立高原小

地元の食材を教材にしながら、5味を学び、同時に沖縄に伝わる食文化と、地産地消の意義を知りました。

「味覚の授業」® 参加校一覧

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